機能回復修理・レストア

シャッター幕交換の必要性
Shutter Curtain
幕速を決定付けるスプリングドラム
これがM型のスプリングドラムと呼ばれている部品で、幕にテンションを作り、幕速を決定付ける重要な役割を持っています。通 常この部品に幕が貼られていて、シャッターを切ると内部のスプリングにより幕を引っ張ります。これによってシャッターは作動するわけです。多くの場合、先幕用と後幕用の2本が使用されています。
分解
スプリングドラムを分解したところです。内部のスプリングが見えますが、グリスが劣化している様子がわかります。個体差はありますが、製造後もしくはオーバーホール(以下OH)してから10年以上経つと、この様な状態になってしまいます。この状態では正確な幕速が保てるはずもなく、幕速調整を行ってもその場限りであって、またすぐに狂ってしまいます。この状態であれば清掃とグリスの入れ替えが必要です。
清掃とグリス入れ替え
清掃とグリスの入れ替えが終わった状態です。この状態で組み込みを行い、あらためて幕速の調整を行います。もちろん、スプリングドラムだけではなくカメラ全体のOHを行い、はじめて正確な幕速が得られるわけです。
結論
Shutter Curtain
スプリングドラムのグリス入れ替えを行わないと、幕速を調整しても精度を維持することができません。また、この作業が必要な状態ですと、シャッター幕自体も劣化しています(穴が開いている、あるいはボロボロになっている等のハッキリとわかる不良が無い場合でも幕は劣化しています)。通 常、シャッター幕は布とゴムを張り合わせて作られていますので、劣化によりゴムが収縮、硬化してしまうのです。また、幕を張り付けてある構造上、一度外した幕を再利用することは極力さけねばなりません。結果 、旧い機種やOH(幕交換及びスプリングドラムのグリス入れ替えを含む)をしてから時間がたっている個体のOHを行う場合、上記の作業を行わずにOHを行ったとは言えないのです。