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M6,M6TTL等のファインダーの問題点
まずハレーション問題についてご説明します。M6等におけるファインダーは、ピントを合わせるために二重像を合致させる方法を取っています。ファインダーを覗くと中心部分に二重像が見える部分があります。ハレーション問題は、その部分が「ある条件」のときに光りすぎて像が見えなくなることを指します。
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ある条件とは
ファインダー側から見て左側(巻き戻しクランク側)に強い光源が有る場合を指します。この条件のときに「特に」起こりやすいですが、必ずしもこの条件のときだけハレーション問題が発生するわけではなく、強い光源にカメラを向けた場合にも起こる場合があります。
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なぜハレーション問題が起こるのか
図1のaが二重像の虚像の光路です。b(以下:採光窓)からブライトフレーム用の光が入り、その光が二重像の光路に侵入してしまうことでハレーションの現象が起きてしまうわけです。
詳しく説明しますと、採光窓から入ってきた光がc(以下:ミラー)に反射してd(以下:マスクプレート)を抜けることによりブライトフレームとして見えるわけですが、マスクプレートの中央に虚像用の光りが通
る穴があり、ミラーに反射した光りがブライトフレーム用にマスクプレートに開いた穴を通
過するだけではなく、虚像用の穴も通過してしまうのです。つまりブライトフレームと同じような状態になってしまい、虚像よりも強い光が入った場合に虚像が見えなくなってしまうわけです。
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MPでの解決方法
ライカMP(ライカジャパンでのファインダー改造も)はこの問題に対してミラーの中央部に開いている穴を大きくすることによって対処しています(画像1)。虚像の光路を大きくすることによって、ブライトフレーム用の光りがマスクプレート中央部に行きにくくしています。ですが同時にブライトフレーム用の光が足りなくなる問題が生じ(特に望遠側)、それを解決するためにマスクプレート前に集光レンズ(画像2)を取り付けています(それでもミラーから反射する光量
が減り、ブライトフレームは暗くなります。またこの集光レンズはハレーション軽減にはほとんど効果
はないと考えられます)。ではこれで完全に解決かというと、ミラーとマスクプレートの空間にて光が乱反射し、やはり一定角度からはどうしても虚像の光路に入ってしまうことは免れることは出来ず、この処理をしたほうがハレーション問題は起こりにくいとしか言えず、完全解決ではありません。
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KANTOのハレーション軽減改造
今回特許を取得した改造の方法はMPとは異なります。そもそも開発にあたり、MPのようにミラーの穴を大きくする方法はテスト致しております。ですが問題解決というには程遠い結果
しか得られなかったために却下となりました。ではどのように解決するかを説明致します。
ミラーとマスクプレートの空間に乱反射している光がマスクプレートの虚像用の穴を通
過しなければ問題は起きないわけですから、乱反射した光を遮って虚像用の光だけ通
過させるように図2のeのパイプを取り付けます。実際には特製のガラスプレート(図2のf)をパイプの台座としています(画像3)。これにより乱反射した光りはマスクプレートの虚像用の穴を通
過することが出来ず、ハレーション問題をほぼ完全解決することが出来るわけです。このパイプは内側が黒、外側が白になっています。内側が黒い理由は、このパイプにも極少量
の乱反射した光りが入る可能性がありますが、内側が黒い為に侵入してしまった乱反射の光りが虚像用の穴に到達しにくくなっています(実際にはほとんど入りませんが、念のためです)。また外側が白い理由ですが、この改造に問題点を先に説明しなくてなりません。ブライトフレームの光りはミラーに反射してマスクプレートを通
過したものでありますが、採光窓から入ってきた光りがパイプにより一部遮られます。そうするとブライトフラームの一部に陰りが出来てしまいます(図3)。そうは言っても極細いパイプですし光りは回折しますから本当に多少なのですが、少しでも問題が軽減するようにパイプを白にして陰りが出ないようにしています。実際に白く塗ると問題が軽減致しまして、現在の改造後にブライトフレームの一部に陰りが出る現象はほぼ無くなっています。
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